【新築戸建てのデメリット】金利が低いタイミングで住宅ローンを組めるとは限らない(固定金利)

考え方

低金利が続いています。住宅エコポイントや住まい給付金なども相まって、住宅購入を検討している方も多いと思います。

今回は、低金利時代の住宅ローンについて、実際に2021年に新築戸建てを建てた筆者の視点を紹介します。

筆者の家の概要:新築戸建て(注文住宅)、住宅ローンの金利タイプは全期間固定金利

金利上昇リスクは誰が負うか?

まず金利タイプについて見てみます。

変動金利における金利上昇リスクは、債務者が負います。市場金利が上昇しなかった場合、結果として固定金利よりも支払利息は低く済みます。

固定金利における金利上昇リスクは、債権者が負います。市場金利が上昇を続けた場合、債権者は損をする可能性があるため、固定金利は変動金利よりも利率が高く設定されています。固定金利を選択した債務者から見た、固定金利と変動金利の利率の差は、金利上昇リスクに対する保険料と解釈することになります。

住宅ローンの利率は(変動金利にせよ、固定金利にせよ)毎月、月が切り替わるタイミングで各金融機関が発表・決定します。

住宅ローンから見た、新築とそれ以外との違い

当たり前ですが、新築には工事期間が必要なため、工事の契約から融資実行までは数か月単位で時間がかかります。

中でも、最も時間がかかるのが新築戸建て、かつ、注文住宅の場合でしょう。

住宅ローンの融資実行日(実際に金銭消費貸借契約を結んで契約金利が確定する日)は工事請負契約を結んだ日ではありません。建物の完成引渡日の属する月です。

工事契約から融資実行まで数か月かかることによって、以下のことが起こり得ます。

仮に工事請負契約を結んだタイミングでは「金利が低くてチャンスだ」と思っても、融資実行月には金利が跳ね上がってしまっていた、ということも起こり得ます。しかも既に工事請負契約を結び実際に建物が出来上がりつつあるので「金利が上がってきたから、やっぱりやめよう」ということは出来ません。

これが中古物件や、建売の場合はどうでしょう。

既に物件が存在しているため、売買契約から融資実行までは新築の場合と比べると格段にスピーディーです。

変動金利を選択する場合は、融資実行後も負担する金利が変動するため、契約時点での利率に大した意味はありません。

しかし固定金利を選択する場合は、融資実行月の金利で(その名の通り)「固定」されるわけですから、契約時点での利率は非常に大きな意味があります。仮に3,000万円の借入で利率が0.1%高くなるだけで、年間の支払利息が3万円も高くなります。

住宅ローンから見た、新築とそれ以外との違いとは、意図した利率でローンを組めるかどうか、ということになります。前述の通り、固定金利を選択する場合はリスキーになります。

以上の理由から、新築の場合はフラット35などの固定金利タイプだけではなく、民間銀行の変動金利タイプなど、固定・変動の両タイプの住宅ローンの本審査を通しておくことが重要です。

実際に2021年に新築戸建てを建てた筆者の場合

筆者は2021年2月に住宅ローン(全期間固定金利)を組んで新築戸建て(注文住宅)を購入しました。

一口に購入といっても、実際には下記のような工程を踏んでいます。

2019年10月 住宅メーカー決定、注文住宅につき間取り等の打ち合わせに入る

2020年2月 契約(工事請負契約締結)。この後も間取り等の打ち合わせは続いている

2020年4月 コロナによる緊急事態宣言で打ち合わせが1~2ヶ月ほど中止

2020年9月 主要部分の打ち合わせ終了。変更契約書にサイン

2020年11月 着工

2021年2月 工事完成。住宅ローンの融資実行と家の完成引渡し

大多数の人が住宅購入は人生で一度きりだと思います。これから住宅を購入される方はこれらの工程がイメージ出来ないことが多いと思ったのでご紹介しました。

注目して頂きたいのは、家を建てようと思ってから住宅ローンの実行まで約1年半もかかっていることです。

筆者は熟考タイプのため、平均よりも長い時間をかけて打ち合わせを行っています。さらに、コロナによる緊急事態宣言で打ち合わせが一時中断というアクシデントも重なり、注文住宅の新築戸建てという一番時間がかかる組み合わせなのに、さらに時間がかかる結果となりました。

もちろん、即断即決でポンポンと決めていく人もいて、その場合はもっと短くなりますが、最低でも全行程に半年はかかると思います。

半年にせよ、1年半にせよ、それだけ時間が経てば当然金利も動きます。

タイミングが悪いことに、筆者の住宅ローン融資実行月である2021年2月はアメリカの長期金利が急上昇し始めたところでした。

なんとか金利が上がりきる前に契約できたので、結果としてはそれなりに満足していますが、当時はハラハラしたことを覚えています。

金利は自分ではコントロール出来ません。であるにもかかわらず、工事をしている間に金利が上昇して、結果として高い金利で住宅ローンを組むハメになる。新築にはそういうリスクがある、ということを知っておいて頂けたらと思います。

まとめ

新築戸建ての注文住宅というのは、それ自体は夢のある良いものです。

ただし、前述したように打ち合わせや工事期間などかかる時間が長くなるほど意図した住宅ローン金利からブレる可能性もあります。

これから家を建てる方は、そういった視点もある、ということを知って頂いた上で家づくりを楽しんで頂ければと思います。

参考になれば幸いです。

good luck!

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